投資で焦らないために。知っておきたい7つの「認知バイアス」と冷静な対処法

雑記

こんにちは、ネコのシッポです。

投資をしていると、不思議なことが起こります。頭では「冷静に」と分かっているのに、なぜか焦って売ってしまう。根拠もないのに「自分は大丈夫」と思い込んでしまう。そんな経験はありませんか。

実はこれ、あなたの性格や能力の問題ではありません。人間の脳に、もともと備わっている「考え方のクセ」が原因です。

このクセのことを、心理学では「認知バイアス」と呼びます。

かつて私は、この心のクセに気づかないまま、掲示板の空気に流されて判断を誤り、苦い思いをしました。だからこそ今日は、この認知バイアスについて、できるだけやさしくお伝えしたいと思います。

【結論】認知バイアスは「知っておくだけ」で対処できる

先に結論からお伝えします。

認知バイアスは、完全になくすことはできません。脳のクセだからです。

しかし、「自分にはこういうクセがある」と知っておくだけで、かなり対処しやすくなります。不必要に焦ることが減り、落ち着いて判断できるようになります。

これは、車の運転に少し似ています。運転には、どうしても見えない「死角」があります。死角そのものをなくすことはできません。でも、「ここに死角がある」と知っているドライバーは、自然とミラーを確認します。だから事故を防げるのです。

認知バイアスも同じです。 「ある」と知っているだけで、備えられる のです。

【理由】なぜ投資家は認知バイアスを知るべきなのか

では、なぜ投資家にとって、これがそんなに大切なのでしょうか。理由は大きく2つあります。

理由①:相場が動いても、不必要に焦らなくなる

投資で損をする原因の多くは、知識不足よりも「感情に振り回された判断」です。

価格が急に下がると不安になり、慌てて売る。価格が上がっていると、乗り遅れたくなくて飛びつく。こうした反応の裏には、たいてい認知バイアスが隠れています。

「あ、今のこの気持ちは、あのバイアスかもしれない」と気づけるようになると、ひと呼吸おけるようになります。この「ひと呼吸」が、冷静な判断を取り戻してくれます。

理由②:自分の判断のクセに、早めに気づける

人は、自分の思考のクセには、なかなか自分で気づけないものです。

しかし、バイアスの「名前」と「特徴」をあらかじめ知っておくと、話は変わります。同じ失敗を繰り返す前に、「またこのパターンに入りそうだ」と、早めにブレーキをかけられるようになります。

【具体例】知っておきたい7つの認知バイアスと対処法

ここからが本題です。投資家がとくに知っておきたい7つのバイアスを、ひとつずつ見ていきましょう。

それぞれ「どんなクセか」「投資でのありがちな例(たとえ話)」「対処法」の順でお伝えします。なお、例はすべて、特定の銘柄とは関係のない、分かりやすくするための架空のお話です。

① 損失回避バイアス:損は、得の約2倍つらい

どんなクセか

人は、得をする喜びよりも、損をする痛みのほうを、ずっと強く感じます。研究では、損の痛みは、同じ金額の得の喜びの、 約2倍 にもなると言われています(プロスペクト理論)。

同じ「1万円」でも、心に響く大きさは違う

1万円もらえた「うれしさ」

1万円失った「つらさ」

※ 痛みは喜びの約2倍と感じられる、というイメージ図です。

たとえ話

道で1万円を拾ったときの喜びと、財布から1万円を落としたときの悔しさ。どちらが心に長く残るでしょうか。多くの人は、後者のはずです。

投資でも同じことが起こります。利益が出ている株は「早く確定させたい」とすぐ売りたくなる一方、損が出ている株は「損を確定させたくない」気持ちから、ずるずる持ち続けてしまいがちです。

対処法

売買のルールを「買う前に」決めておくことです。

たとえば「この理由が崩れたら売る」というように、感情が動く前に、自分なりの基準を作っておきます。痛みを感じてから考え始めると、どうしても判断が鈍るからです。

② 確証バイアス:見たい情報だけが、目に入る

どんなクセか

人は、自分の考えを裏づける情報ばかりを集め、反対の情報を無視してしまう傾向があります。

たとえ話

ある会社の株を買ったあと、その会社を褒める記事ばかり読んでしまう。逆に、悪いニュースが出ても「これはたまたまだろう」と軽く流してしまう。応援したい気持ちが、知らないうちに目を曇らせるのです。

対処法

あえて「反対意見」を探しにいくことです。

自分が買った銘柄について、「弱気な見方」や「考えられるリスク」を意識して調べる習慣をつけます。反対意見を読んでも気持ちが揺るがないなら、それは納得して持てている証拠でもあります。

③ アンカリング:最初に見た数字に、引きずられる

どんなクセか

最初に見た数字が「基準(錨=いかり)」となって、その後の判断を引きずってしまうクセです。

たとえ話

ある株が、一時は3,000円まで上がったとします。それが2,000円まで下がると、「1,000円も安い、お買い得だ」と感じてしまいます。

でも、その会社の本当の実力が1,500円分しかないとしたら、2,000円はむしろ割高かもしれません。最初に見た「3,000円」という数字に、判断が引っぱられているのです。

対処法

過去の高値や、自分の買った値段を基準にしないことです。

大切なのは、「今のその会社の実力」、つまり業績や財務といった中身です。値札の動きではなく、中身を見る習慣をつけましょう。

④ 群集心理(バンドワゴン効果):みんなが買うから、買う

どんなクセか

みんながやっていることを「正しい」と感じ、つい同じ行動を取りたくなるクセです。

たとえ話

SNSで「この株、みんな買ってる!」と盛り上がっていると、乗り遅れたくなくて、よく調べないまま買ってしまう。行列のできるお店に、つい並びたくなるのと似ています。

正直に申し上げると、かつて私が掲示板の空気に飲まれて失敗したのも、まさにこのバイアスでした。

対処法

「なぜ自分はこれを買うのか」を、一度言葉にしてみることです。

その理由が「みんなが買っているから」しか出てこないなら、立ち止まるサインです。人の数は、その投資が正しいことの理由にはなりません。

⑤ 直近性バイアス:最近のことを、重く見すぎる

どんなクセか

最近起きた出来事を、実際以上に重く受け止めてしまうクセです。

たとえ話

ここ数日、株価が上がり続けると「これからもずっと上がりそうだ」と感じます。逆に数日下がると「もう終わりかもしれない」と感じます。

実際の相場は、上がったり下がったりを繰り返すものです。それなのに、つい「今の流れ」が永遠に続くように錯覚してしまうのです。

対処法

短い期間ではなく、長い期間(年単位)のグラフで見ることです。

数日の動きは「点」にすぎません。「点」ではなく「線」で全体を眺めると、今の動きが、長い流れの中のどのあたりなのかが見えてきます。

⑥ サンクコスト効果:「もったいない」から、やめられない

どんなクセか

すでに使ったお金や時間が「もったいない」と感じ、損だと分かっていてもやめられなくなるクセです。専門的には「埋没費用(サンクコスト)」と呼びます。

たとえ話

つまらない映画でも、お金を払って入ったからには、最後まで観てしまう。そんな経験はないでしょうか。

投資でも、「ここまで持ったのだから」「これだけ下がったのだから、戻るまで待とう」と、合理的でないのに持ち続けてしまうことがあります。

対処法

「もし今、この株を1株も持っていなかったとして、今の値段で新しく買うだろうか?」と自分に問いかけることです。

答えが「買わない」なら、それは手放すことを考えるべき候補かもしれません。すでに払ったお金は、もう戻ってきません。判断すべきは「これから」です。

⑦ 自信過剰バイアス:「自分だけは大丈夫」と思う

どんなクセか

自分の知識や判断を、実際よりも高く見積もってしまうクセです。「自分だけは失敗しない」と感じてしまいます。

たとえ話

何度か投資がうまくいくと、「自分にはセンスがあるのかもしれない」と感じ始めます。そして、だんだん大きな金額を、よく調べないまま投じるようになっていきます。

しかし、うまくいったのが「実力」だったのか、「たまたま(運)」だったのか。人は、この2つを区別するのがとても苦手です。

対処法

自分の判断や売買を「記録」しておくことです。

「なぜ買ったのか」「結果はどうだったのか」を簡単にメモしておくと、思い込みと現実のズレに気づけます。記録は、未来の自分への、いちばん正直なアドバイザーになってくれます。

バイアス どんなクセか 対処法のヒント
① 損失回避 損の痛みを、得の約2倍に感じる 売る基準を、買う前に決めておく
② 確証 都合のいい情報だけを集める あえて反対意見・リスクを調べる
③ アンカリング 最初に見た数字に引きずられる 値段でなく、今の実力で見る
④ 群集心理 みんなが買うから、自分も買う 「買う理由」を言葉にしてみる
⑤ 直近性 最近の出来事を重く見すぎる 長い期間のグラフで眺める
⑥ サンクコスト もったいなくて手放せない 「今、新しく買うか?」と問う
⑦ 自信過剰 自分の判断を高く見積もる 売買の理由と結果を記録する

明日から使える、セルフチェックリスト

最後に、判断に迷ったときのチェックリストをご用意しました。何かを売買する前に、ひとつずつ確認してみてください。当てはまるものがあれば、いったん立ち止まる合図です。

売買する前の、7つの問いかけ

  • ☐ その判断、「損したくない」気持ちが先に立っていませんか?
  • ☐ 反対の意見やリスクも、ちゃんと調べましたか?
  • ☐ 過去の値段ではなく、今の実力で見ていますか?
  • ☐ 「みんなが買っているから」が、理由になっていませんか?
  • ☐ ここ数日の動きだけで、判断していませんか?
  • ☐ 「もったいない」だけで、持ち続けていませんか?
  • ☐ 「自分は大丈夫」と、思い込んでいませんか?

【まとめ】バイアスは「敵」ではなく「付き合う相手」

最後に、もう一度お伝えします。

認知バイアスは、消すことができません。これは、誰の脳にもある、ごく自然なものです。ですから、バイアスを持っている自分を、責める必要はまったくありません。

大切なのは、完璧になることではありません。「あ、今これかもしれない」と気づける回数を、少しずつ増やしていくこと。それだけで、判断はずいぶん落ち着いてきます。

もちろん、バイアスを知ったからといって、投資のリスクがなくなるわけではありません。投資には、いつでも損をする可能性があります。バイアスへの理解は、あくまで「感情による余計な失敗」を減らすための備えです。利益を約束してくれるものではありません。ここは、冷静に受け止めておきたいところです。

それでも、自分の心のクセを知っておくことは、長く投資を続けていくうえで、きっと静かな支えになってくれます。

焦らず、長く、冷静に。一緒に、少しずつ学んでいきましょう。


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