3行要約
- 過去最高の営業利益を更新:売上高10兆7,153億円、営業利益2,704億円と、PB強化や巨大M&Aにより絶好調です。
- ドラッグストア再編とPB戦略が牽引:物価高で節約志向が高まる中、「トップバリュ」の拡販と、ツルハ・ウエルシアのヘルス&ウエルネス事業が成長の柱となっています。
- 指標面では割高感あり:PERが約65倍と高く、配当利回りは0.85%と低め(※2026年4月9日終値時点)。高配当株というよりは優待銘柄・長期成長銘柄としての位置づけです。
今期の見どころ
今期のイオンの決算で最も注目すべきは、圧倒的な規模感と攻めのM&Aです。
営業収益(売上高)は10兆7,153億円で対前期比5.7%増、そして営業利益は2,704億円と13.8%増で過去最高を更新しました。
特に目立つのが、株式会社ツルハホールディングスの連結子会社化による「ヘルス&ウエルネス事業」の急成長です。ウエルシアと合わせた同事業の営業利益は523億円(前期比163億円の増益)に達し、グループ全体の大きな稼ぎ頭になっています。また、物価高に苦しむ消費者の味方であるプライベートブランド「トップバリュ」の拡販も、利益率の改善に大きく貢献しています。
気になった点
規模の拡大が順調な一方で、小売事業(GMS事業・SM事業)の利益に対するコスト負担は気になります。
売上は伸びているものの、物流費の高騰や従業員の賃上げに向けた人的投資により、イオンリテール等のGMS(総合スーパー)事業やSM(食品スーパー)事業の営業利益は前年を下回っています。しかし、イオンはこのコスト上昇を吸収するため、セルフレジの導入やDX化による生産性向上を急ピッチで進めており、一時的な「未来への投資」と捉えることもできます。
長期配当目線での評価
長期投資家としては、「配当」と「優待」の組み合わせがやはり魅力的です。
2026年2月期は株式分割(1株→3株)を実施し、これに合わせて配当も再編されています。年間配当の実質額としては安定的に推移しており、来期(2027年2月期)には記念配当も含めて実質的な増配が予定されています。
ただ、配当利回り自体は0.85%(※2026年4月9日終値時点)と、高配当株投資の基準からはやや物足りません。それでも、イオンの強みである「株主優待(オーナーズカードによるキャッシュバック)」の恩恵を受けられるため、日頃からイオン経済圏を利用する方にとっては、数値以上の実質利回りが期待できる銘柄です。
5項目の採点表
長期投資の観点から、100点満点で採点しました。(※株価関連は2026年4月9日終値ベース)
| 評価項目 | 点数 | コメント |
|---|---|---|
| 収益力 | 17/20 | 営業利益は過去最高を更新。PB商品の拡販とドラッグストアの統合効果が絶大。 |
| 割安性 | 8/20 | PER約65.6倍、PBR約4.0倍と、市場からの期待が高く割安感はない。 |
| 財務健全性 | 12/20 | 全体の有利子負債は大きいが、金融事業を除いた自己資本比率は14.3%。巨大なキャッシュフローで事業を回している。 |
| 株主還元 | 16/20 | 配当利回りは低いが、増配姿勢と圧倒的な人気を誇る株主優待(還元率)が素晴らしい。 |
| 将来性・トレンド | 18/20 | 「ライフストア」構想によるドラッグストア事業の成長と、アセアン地域(ベトナムなど)への本格的な進出が明るい材料。 |
| 総合点 | 71/100 | 生活インフラとしての盤石の地位。優待+成長の両輪で持つべき銘柄 |
総合判断
結論としては、純粋な高配当株としては「様子見」ですが、生活必須の優待銘柄としては「保有継続(新規なら100株買い)」がおすすめです。
株価指標面での割高感は否めず、配当利回りを目的とする長期ポートフォリオの主役にはなりにくいのが正直なところです。しかし、ツルハやウエルシアを傘下に収めた圧倒的巨大インフラとしての安定感と、株主有待の魅力を掛け合わせれば、やはり個人投資家としては「最低単元(100株)はガチホールドしておきたい銘柄」の筆頭と言えるでしょう。
この記事の補足コメント
ちなみに、私自身は現在イオンの株式を保有していません。ではなぜ今回わざわざ記事にして分析したかというと、直近の高値から株価が大きく下げてきており、投資のチャンスを探るために気になったからです。
業績は最高益更新と絶好調にもかかわらず株価が下げている要因としては、市場の期待値が先行して高まりすぎた(高すぎるPERによる割高感)ことからの健全な調整(期待値の剥落)であると考えています。適正な水準まで下がれば、ぜひ拾いたい銘柄の一つですね。
イオンはただのスーパーから、金融、ディベロッパー、そして巨大なドラッグストア網を抱える「超・生活インフラ企業」へと完全に変貌しました。1株を3株にする株式分割を行ったことで、より少ない資金で優待の権利が取れるようになったのも素晴らしい配慮だと感じます。
【免責事項】
※本記事の株価および各種指標は、2026年4月9日の終値データを使用しています。
※本記事は特定の銘柄への投資を勧誘・推奨するものではありません。
※記事に記載された内容は、執筆時点での公開情報や個人的な見解に基づいています。
※最終的な投資にかかるご判断は、必ずご自身の責任において行われますようお願いいたします。


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