決算分析で選ぶ持ち株高配当株ランキング|2026年・21銘柄

雑記

はじめに:5つの項目で「決算」を採点してみました

「高配当株に興味はあるけれど、たくさんある銘柄の、どこを見ればいいのか分からない」。そんな声をよく聞きます。

そこで今回は、2026年に発表された各社の決算をもとに、 持ち株21の銘柄を5つの項目(各20点・合計100点)で採点 し、得点順に並べたランキングをご紹介します。

最初に、ひとつだけお伝えしておきたいことがあります。これは「この銘柄を買いましょう」というおすすめランキングではありません。あくまで、決算という事実を同じ物差しで整理し、落ち着いて比較するための「地図」のようなものです。

今回もっとも得点が高かったのは、 三菱UFJ(80点)・東京海上HD(78点)・ORIX(77点) の3社でした。

以下では、各社の評価ポイントを2〜3行にまとめ、さらに詳しく知りたい方向けに、個別の決算分析記事へのリンクも添えています。気になった銘柄から、気軽に読み進めてみてください。

このランキングの読み方

本題に入る前に、点数の意味を簡単に説明します。

採点は、次の5つの項目について、それぞれ20点ずつ、合計100点で評価しています。

評価項目(各20点) かんたんに言うと
収益力しっかり「稼ぐ力」があるか。利益が伸びているか。
割安性今の株価が、企業の実力に対して割安か割高か(PER・PBRなど)。
財務健全性借金に頼りすぎていないか。お金の土台が固いか。
株主還元配当や自社株買いで、株主にどれだけ報いているか。
将来性これから伸びる余地や、追い風があるか。

あわせて、点数をつける前の「足切り」として、いくつかの目安で銘柄を絞り込んでいます。本文で「スクリーニング基準に届かない」と出てきたら、下の条件のどれかに当てはまっている、という意味です。

採点の前に見ている「スクリーニングの目安」

点数をつける前に、おもに次のような条件で銘柄を絞り込んでいます。これらに届かない銘柄は、本文中で「スクリーニング基準に届かない」と注記しています。

  • 時価総額(目安:1,000億円以上)……売買のしやすさ(流動性)の目安
  • 配当利回り(目安:3%以上)……高配当株として注目するライン
  • 自己資本比率……財務の余裕度
  • ネットデット(純有利子負債)……借入への依存度

なお、点数はあくまで「ある時点の決算データ」に基づく相対的な比較です。 「点数が高い=買い」「低い=売り」を意味するものではありません 。順位の高い・低いにかかわらず、最後はご自身で確認することをおすすめします。

ランキング一覧(全21銘柄)

まずは全体像です。得点順に21銘柄を並べました。

順位 得点 コード 企業名 決算期
1808306三菱UFJフィナンシャルグループ2026年3月期4Q
2788766東京海上HD2026年3月期4Q
3778591ORIX2026年3月期4Q
4768473SBIホールディングス2026年3月期4Q
5758593三菱HCキャピタル2026年3月期4Q
6742914JT2026年12月期1Q
6747203トヨタ自動車2026年3月期4Q
6749432NTT2026年3月期4Q
9735911横河ブリッジHD2026年3月期4Q
9738511日本証券金融2026年3月期4Q
11721605INPEX2026年12月期1Q
11725184ニチリン2026年12月期1Q
13717202いすゞ自動車2026年3月期4Q
13718053住友商事2026年3月期4Q
13718729ソニーFG2026年3月期4Q
16702117ウェルネオシュガー2026年3月期4Q
17684042東ソー2026年3月期4Q
18664611大日本塗料2026年3月期4Q
18665401日本製鉄2026年3月期4Q
20638091ニチモウ2026年3月期4Q
21559274KPPHD2026年3月期4Q

※得点は5項目(各20点)の合計。同点は同順位としています。数値は分析時点のものです。

ここから、それぞれの評価ポイントを順に見ていきます。

各社の評価ポイントと個別分析リンク

1位(80点)三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日

3年連続で最高益を更新し、金利の上昇も追い風になっています。配当は実績86円から来期予想96円へと連続増配で、自己株買いを含めた還元の手厚さは国内金融大手でも上位です( 配当利回り3.28% )。一方、自己資本の健全性を示すCET1比率が一時的に目標を下回った点は、今後の確認ポイントです。

▶ 三菱UFJ(8306)の決算分析を読む

2位(78点)東京海上HD(8766)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月20日

10年以上 減配ゼロ を続ける累進配当の実績は、国内保険でも随一です。配当は218円から来期予想245円へ増配(来期予想利回り3.13%)。バークシャー・ハサウェイとの提携も、長期的な強みになりそうです。来期から会計基準がIFRSに変わるため、数字の見方に少し慣れが必要です。

▶ 東京海上HD(8766)の決算分析を読む

3位(77点)ORIX(8591)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月8日

3年連続の最高益で、「配当性向39%か前期実績の高い方」という、実質的に下がりにくい配当設計が特長です。来期は自己株買いの枠も拡大予定で、 予想配当利回りは3.40% 。ただし今期と来期は資産売却益の貢献が大きく、本業の実力値を冷静に見極めたいところです。

▶ ORIX(8591)の決算分析を読む

4位(76点)SBIホールディングス(8473)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月2日

銀行の売却益という一時的な要因はあるものの、本業の証券・資産運用も伸び、 ほぼ全指標で過去最高 を更新しました(配当利回り3.01%)。最大の注意点は、来期の業績・配当がともに「非開示(未定)」で、特別な利益が消えたあとの実力がまだ見えにくいことです。

▶ SBIホールディングス(8473)の決算分析を読む

5位(75点)三菱HCキャピタル(8593)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月15日

4期連続の最高益に加え、前身の時代から続く連続増配は 来期予想で28期連続 という圧倒的な実績で、長期保有の大きな安心材料です(来期予想利回り3.58%・PBR1.03倍)。決算期変更による一時的な押し上げを除くと、実力ベースの伸びは穏やかで、一部事業の赤字は引き続き要観察です。

▶ 三菱HCキャピタル(8593)の決算分析を読む

6位(74点)JT(2914)

決算:2026年12月期1Q/分析日:2026年5月8日

値上げと円安が追い風になり、1Qは力強い増益スタートを切りました。 配当利回りは4.19% と高く、強いキャッシュフローが高めの配当を支えています。過去に1度の減配実績があること、ロシア事業や海外訴訟の不確実性は、中長期で意識しておきたい点です。

▶ JT(2914)の決算分析を読む

6位(74点)トヨタ自動車(7203)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月8日

米国の関税で減益見通しが続くなかでも、 7兆円を超える潤沢な手元資金 と「安定的・継続的な増配」方針の確かさは変わりません。来期も95円から100円へ増配を明言し、PBRは1倍割れ、予想利回りは3.43%とバリュー的な魅力があります。北米の営業損失と利益率の低下は、注視ポイントです。

▶ トヨタ自動車(7203)の決算分析を読む

6位(74点)NTT(9432)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月8日

過去最高の売上を達成し、 16期連続増配 を継続しています(予想利回り3.60%)。データ事業の高成長やAI需要の取り込みも、成長戦略の柱です。子会社化・連結化で自己資本比率が低下した点と、来期が小幅な減益予想である点は、確認しておきたいところです。

▶ NTT(9432)の決算分析を読む

9位(73点)横河ブリッジHD(5911)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月13日

橋梁市場の一時的な低迷で減益でしたが、 受注残高は前期比で大きく増加 しており、先行きの土台は固いと言えます。10年超の連続増配・累進配当を掲げ、来期予想利回りは4.45%・PBR0.85倍と割安感もあります。統合シナジーが見えてくる来期以降が、評価の節目です。

▶ 横河ブリッジHD(5911)の決算分析を読む

9位(73点)日本証券金融(8511)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月14日

日本で唯一の証券金融会社という参入障壁を持ち、経常利益などが過去最高を更新しました。中期計画で 総還元性向100%・配当性向70% という非常に高い還元方針を掲げ、予想利回りは4.28%。金利の低下や株式市況の悪化が業績の反転リスクになる点は、意識しておきたいところです。

▶ 日本証券金融(8511)の決算分析を読む

11位(72点)INPEX(1605)

決算:2026年12月期1Q/分析日:2026年5月17日

原油価格の遅れた影響で一時的に減収となったものの、通期見通しは 上方修正 されました。累進配当を掲げ、財務の健全性も高水準です。ただし配当利回りは2.75%とスクリーニング基準の3%に届かず、油価や中東情勢で業績が大きく動く点には注意が必要です。

▶ INPEX(1605)の決算分析を読む

11位(72点)ニチリン(5184)

決算:2026年12月期1Q/分析日:2026年5月17日

1Qは増収増益で、順調な滑り出しです。 PER9.9倍・PBR0.91倍・配当利回り4.50% と割安指標がそろい、財務も強固です。一方で、北米の関税コストやのれん償却が利益を圧迫している点と、時価総額が小さくスクリーニング基準には届かない点は、留意したいところです。

▶ ニチリン(5184)の決算分析を読む

13位(71点)いすゞ自動車(7202)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月17日

中東向けの出荷停止や関税で減益でしたが、来期は回復見込みです。 配当利回り4.11%・総還元性向84% と還元水準は高めです。自己資本比率がやや低めである点、過去に1度の減配実績がある点、ホルムズ海峡をめぐる情勢が来期の分岐点になる点を、押さえておきたいです。

▶ いすゞ自動車(7202)の決算分析を読む

13位(71点)住友商事(8053)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月3日

過去最高益を更新し、来期もさらなる最高益更新を目指しています。累進配当を中計に明記し、来期は増配予想です。ただし 配当利回りは2.19% と3%基準に届かず、割安感は薄めです。子会社化の影響で自己資本比率が一時低下している点も、確認しておきたいところです。

▶ 住友商事(8053)の決算分析を読む

13位(71点)ソニーFG(8729)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月14日

会計上は一時的な損失で当期純利益が赤字ですが、持続的な収益力を示す指標は大きく伸びています。 予想配当利回りは約5.5% と、今回の21銘柄で最高水準です。2025年9月に再上場した新しい銘柄で、市場での評価が定まるのは、これからという段階です。

▶ ソニーFG(8729)の決算分析を読む

16位(70点)ウェルネオシュガー(2117)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日

グループ会社の連結化で増収増益となり、 自己資本比率72.9% の堅い財務と4.40%の配当利回りが魅力です。一方、来期は減益予想で、過去に2回の減配実績があります(累進配当ではありません)。時価総額が小さく、スクリーニング基準には届きません。

▶ ウェルネオシュガー(2117)の決算分析を読む

17位(68点)東ソー(4042)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月17日

米国子会社の減損で純利益は圧縮されましたが、 下限100円配当・総還元性向50% という明確な方針が安心材料です(利回り3.61%)。水処理や半導体関連のエンジニアリング事業も育っています。来期の業績予想が「未定」である点が、当面の不透明要因です。

▶ 東ソー(4042)の決算分析を読む

18位(66点)大日本塗料(4611)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月17日

一過性の損失が重なった変則的な期で、来期は利益の正常化を見込みます。 PBR0.52倍・配当利回り4.81% と割安感は高めです。ただし時価総額が小さく流動性が低い点、来期の業績回復が前提になっている点は、リスクとして意識しておきたいところです。

▶ 大日本塗料(4611)の決算分析を読む

18位(66点)日本製鉄(5401)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月13日

USスチール買収にともなう一時費用で純利益は大きく減りましたが、本業の実力はほぼ計画どおりです。 PBR0.53倍 は歴史的に見ても低い水準で、来期のV字回復が実現すれば割安感は際立ちます。自己資本比率や有利子負債など財務の重さと、中東情勢の不透明感は、要注視です。

▶ 日本製鉄(5401)の決算分析を読む

20位(63点)ニチモウ(8091)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日

売上は過去最高でしたが、市況の低迷と工場火災が重なり減益でした。 PER7.44倍・PBR0.57倍 と割安で、累進配当のもと利回りは4.33%です。ただし時価総額が小さく、フリーキャッシュフローが2期続けてマイナスである点など、財務面と流動性のリスクには注意が必要です。

▶ ニチモウ(8091)の決算分析を読む

21位(55点)KPPHD(9274)

決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日

主力のグラフィック用紙が構造的な需要減にあり、2期連続の大幅減益です。 PBR0.68倍・配当利回り4.12% という数字はあるものの、財務の主要条件はスクリーニングに届いていません。土地取得で借入がさらに増える予定で、ポートフォリオ転換の進捗が投資判断の前提になります。

▶ KPPHD(9274)の決算分析を読む

まとめ:3つの注目の切り口

ランキング全体から、特徴のある銘柄を3つの切り口で整理しておきます。

① 高配当と財務の堅さを両立したトップ3

  • 三菱UFJ(80点) :最高益の更新が続き、金利上昇も追い風。配当利回り3.28%。
  • 東京海上HD(78点) :10年以上の減配ゼロという累進配当の実績。来期予想利回り3.13%。
  • ORIX(77点) :3年連続の最高益と、下がりにくい配当設計。予想利回り3.40%。

② 配当利回りが高めの注目銘柄

  • ソニーFG(71点) :予想配当利回りは約5.5%と、今回の最高水準(2025年9月に再上場した新しい銘柄)。
  • 日本証券金融(73点) :総還元性向100%を掲げる方針。予想利回り4.28%。
  • 大日本塗料(66点) :配当利回り4.81%(一時的な損失からの正常化を待つ局面)。
  • ニチリン(72点) :配当利回り4.50%・PER9.9倍と、割安指標がそろう。

③ 時価総額・スクリーニングに注意したい銘柄

以下は、時価総額が1,000億円に満たない、または主要なスクリーニング条件に複数届かないため、売買のしやすさ(流動性)などに注意が必要な銘柄です。

  • ニチモウ(約194億円)
  • 大日本塗料(約358億円)
  • KPPHD(約605億円)
  • ニチリン(約557億円)
  • ウェルネオシュガー(約885億円)

投資する前に、意識しておきたいこと

最後に、ランキングを見るうえで、冷静に押さえておきたい点をいくつか挙げておきます。

ひとつめは、 「一過性の損益」 です。決算には、資産の売却益や買収にかかる費用など、「その期だけ」の特別な要因が含まれることがあります。今回も、一時的な利益で過去最高益に見える銘柄や、逆に一時的な損失で減益・赤字になっている銘柄がありました。数字の良し悪しだけでなく、「本業の実力」を分けて見ることが大切です。

ふたつめは、 来期予想が「未定」の銘柄 です。一部の企業は、来期の業績や配当を未定としています。先が読みにくい分、判断は慎重にしたいところです。

みっつめは、 累進配当・連続増配も「絶対」ではない という点です。「減配しない」方針を掲げる企業でも、過去に減配した実績がある銘柄もあります。方針はあくまで方針であり、将来を保証するものではありません。

よっつめは、 小型株の流動性 です。時価総額が小さい銘柄は、売買がしにくかったり、株価が動きやすかったりします。スクリーニングで注記した銘柄は、この点に注意が必要です。

この記事は、あくまで「最初の一歩」です。気になる銘柄が見つかったら、ぜひリンク先の個別分析や、企業が公式に出している決算短信・決算説明会資料にあたってみてください。事実をひとつずつ確かめていくことが、遠回りのようで、いちばん納得感のある投資につながると、私は考えています。

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