- はじめに:5つの項目で「決算」を採点してみました
- このランキングの読み方
- ランキング一覧(全21銘柄)
- 各社の評価ポイントと個別分析リンク
- 1位(80点)三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)
- 2位(78点)東京海上HD(8766)
- 3位(77点)ORIX(8591)
- 4位(76点)SBIホールディングス(8473)
- 5位(75点)三菱HCキャピタル(8593)
- 6位(74点)JT(2914)
- 6位(74点)トヨタ自動車(7203)
- 6位(74点)NTT(9432)
- 9位(73点)横河ブリッジHD(5911)
- 9位(73点)日本証券金融(8511)
- 11位(72点)INPEX(1605)
- 11位(72点)ニチリン(5184)
- 13位(71点)いすゞ自動車(7202)
- 13位(71点)住友商事(8053)
- 13位(71点)ソニーFG(8729)
- 16位(70点)ウェルネオシュガー(2117)
- 17位(68点)東ソー(4042)
- 18位(66点)大日本塗料(4611)
- 18位(66点)日本製鉄(5401)
- 20位(63点)ニチモウ(8091)
- 21位(55点)KPPHD(9274)
- まとめ:3つの注目の切り口
はじめに:5つの項目で「決算」を採点してみました
「高配当株に興味はあるけれど、たくさんある銘柄の、どこを見ればいいのか分からない」。そんな声をよく聞きます。
そこで今回は、2026年に発表された各社の決算をもとに、 持ち株21の銘柄を5つの項目(各20点・合計100点)で採点 し、得点順に並べたランキングをご紹介します。
最初に、ひとつだけお伝えしておきたいことがあります。これは「この銘柄を買いましょう」というおすすめランキングではありません。あくまで、決算という事実を同じ物差しで整理し、落ち着いて比較するための「地図」のようなものです。
今回もっとも得点が高かったのは、 三菱UFJ(80点)・東京海上HD(78点)・ORIX(77点) の3社でした。
以下では、各社の評価ポイントを2〜3行にまとめ、さらに詳しく知りたい方向けに、個別の決算分析記事へのリンクも添えています。気になった銘柄から、気軽に読み進めてみてください。
このランキングの読み方
本題に入る前に、点数の意味を簡単に説明します。
採点は、次の5つの項目について、それぞれ20点ずつ、合計100点で評価しています。
| 評価項目(各20点) | かんたんに言うと |
|---|---|
| 収益力 | しっかり「稼ぐ力」があるか。利益が伸びているか。 |
| 割安性 | 今の株価が、企業の実力に対して割安か割高か(PER・PBRなど)。 |
| 財務健全性 | 借金に頼りすぎていないか。お金の土台が固いか。 |
| 株主還元 | 配当や自社株買いで、株主にどれだけ報いているか。 |
| 将来性 | これから伸びる余地や、追い風があるか。 |
あわせて、点数をつける前の「足切り」として、いくつかの目安で銘柄を絞り込んでいます。本文で「スクリーニング基準に届かない」と出てきたら、下の条件のどれかに当てはまっている、という意味です。
採点の前に見ている「スクリーニングの目安」
点数をつける前に、おもに次のような条件で銘柄を絞り込んでいます。これらに届かない銘柄は、本文中で「スクリーニング基準に届かない」と注記しています。
- 時価総額(目安:1,000億円以上)……売買のしやすさ(流動性)の目安
- 配当利回り(目安:3%以上)……高配当株として注目するライン
- 自己資本比率……財務の余裕度
- ネットデット(純有利子負債)……借入への依存度
なお、点数はあくまで「ある時点の決算データ」に基づく相対的な比較です。 「点数が高い=買い」「低い=売り」を意味するものではありません 。順位の高い・低いにかかわらず、最後はご自身で確認することをおすすめします。
ランキング一覧(全21銘柄)
まずは全体像です。得点順に21銘柄を並べました。
| 順位 | 得点 | コード | 企業名 | 決算期 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 80 | 8306 | 三菱UFJフィナンシャルグループ | 2026年3月期4Q |
| 2 | 78 | 8766 | 東京海上HD | 2026年3月期4Q |
| 3 | 77 | 8591 | ORIX | 2026年3月期4Q |
| 4 | 76 | 8473 | SBIホールディングス | 2026年3月期4Q |
| 5 | 75 | 8593 | 三菱HCキャピタル | 2026年3月期4Q |
| 6 | 74 | 2914 | JT | 2026年12月期1Q |
| 6 | 74 | 7203 | トヨタ自動車 | 2026年3月期4Q |
| 6 | 74 | 9432 | NTT | 2026年3月期4Q |
| 9 | 73 | 5911 | 横河ブリッジHD | 2026年3月期4Q |
| 9 | 73 | 8511 | 日本証券金融 | 2026年3月期4Q |
| 11 | 72 | 1605 | INPEX | 2026年12月期1Q |
| 11 | 72 | 5184 | ニチリン | 2026年12月期1Q |
| 13 | 71 | 7202 | いすゞ自動車 | 2026年3月期4Q |
| 13 | 71 | 8053 | 住友商事 | 2026年3月期4Q |
| 13 | 71 | 8729 | ソニーFG | 2026年3月期4Q |
| 16 | 70 | 2117 | ウェルネオシュガー | 2026年3月期4Q |
| 17 | 68 | 4042 | 東ソー | 2026年3月期4Q |
| 18 | 66 | 4611 | 大日本塗料 | 2026年3月期4Q |
| 18 | 66 | 5401 | 日本製鉄 | 2026年3月期4Q |
| 20 | 63 | 8091 | ニチモウ | 2026年3月期4Q |
| 21 | 55 | 9274 | KPPHD | 2026年3月期4Q |
※得点は5項目(各20点)の合計。同点は同順位としています。数値は分析時点のものです。
ここから、それぞれの評価ポイントを順に見ていきます。
各社の評価ポイントと個別分析リンク
1位(80点)三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日
3年連続で最高益を更新し、金利の上昇も追い風になっています。配当は実績86円から来期予想96円へと連続増配で、自己株買いを含めた還元の手厚さは国内金融大手でも上位です( 配当利回り3.28% )。一方、自己資本の健全性を示すCET1比率が一時的に目標を下回った点は、今後の確認ポイントです。
2位(78点)東京海上HD(8766)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月20日
10年以上 減配ゼロ を続ける累進配当の実績は、国内保険でも随一です。配当は218円から来期予想245円へ増配(来期予想利回り3.13%)。バークシャー・ハサウェイとの提携も、長期的な強みになりそうです。来期から会計基準がIFRSに変わるため、数字の見方に少し慣れが必要です。
3位(77点)ORIX(8591)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月8日
3年連続の最高益で、「配当性向39%か前期実績の高い方」という、実質的に下がりにくい配当設計が特長です。来期は自己株買いの枠も拡大予定で、 予想配当利回りは3.40% 。ただし今期と来期は資産売却益の貢献が大きく、本業の実力値を冷静に見極めたいところです。
4位(76点)SBIホールディングス(8473)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月2日
銀行の売却益という一時的な要因はあるものの、本業の証券・資産運用も伸び、 ほぼ全指標で過去最高 を更新しました(配当利回り3.01%)。最大の注意点は、来期の業績・配当がともに「非開示(未定)」で、特別な利益が消えたあとの実力がまだ見えにくいことです。
5位(75点)三菱HCキャピタル(8593)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月15日
4期連続の最高益に加え、前身の時代から続く連続増配は 来期予想で28期連続 という圧倒的な実績で、長期保有の大きな安心材料です(来期予想利回り3.58%・PBR1.03倍)。決算期変更による一時的な押し上げを除くと、実力ベースの伸びは穏やかで、一部事業の赤字は引き続き要観察です。
6位(74点)JT(2914)
決算:2026年12月期1Q/分析日:2026年5月8日
値上げと円安が追い風になり、1Qは力強い増益スタートを切りました。 配当利回りは4.19% と高く、強いキャッシュフローが高めの配当を支えています。過去に1度の減配実績があること、ロシア事業や海外訴訟の不確実性は、中長期で意識しておきたい点です。
6位(74点)トヨタ自動車(7203)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月8日
米国の関税で減益見通しが続くなかでも、 7兆円を超える潤沢な手元資金 と「安定的・継続的な増配」方針の確かさは変わりません。来期も95円から100円へ増配を明言し、PBRは1倍割れ、予想利回りは3.43%とバリュー的な魅力があります。北米の営業損失と利益率の低下は、注視ポイントです。
6位(74点)NTT(9432)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月8日
過去最高の売上を達成し、 16期連続増配 を継続しています(予想利回り3.60%)。データ事業の高成長やAI需要の取り込みも、成長戦略の柱です。子会社化・連結化で自己資本比率が低下した点と、来期が小幅な減益予想である点は、確認しておきたいところです。
9位(73点)横河ブリッジHD(5911)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月13日
橋梁市場の一時的な低迷で減益でしたが、 受注残高は前期比で大きく増加 しており、先行きの土台は固いと言えます。10年超の連続増配・累進配当を掲げ、来期予想利回りは4.45%・PBR0.85倍と割安感もあります。統合シナジーが見えてくる来期以降が、評価の節目です。
9位(73点)日本証券金融(8511)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月14日
日本で唯一の証券金融会社という参入障壁を持ち、経常利益などが過去最高を更新しました。中期計画で 総還元性向100%・配当性向70% という非常に高い還元方針を掲げ、予想利回りは4.28%。金利の低下や株式市況の悪化が業績の反転リスクになる点は、意識しておきたいところです。
11位(72点)INPEX(1605)
決算:2026年12月期1Q/分析日:2026年5月17日
原油価格の遅れた影響で一時的に減収となったものの、通期見通しは 上方修正 されました。累進配当を掲げ、財務の健全性も高水準です。ただし配当利回りは2.75%とスクリーニング基準の3%に届かず、油価や中東情勢で業績が大きく動く点には注意が必要です。
11位(72点)ニチリン(5184)
決算:2026年12月期1Q/分析日:2026年5月17日
1Qは増収増益で、順調な滑り出しです。 PER9.9倍・PBR0.91倍・配当利回り4.50% と割安指標がそろい、財務も強固です。一方で、北米の関税コストやのれん償却が利益を圧迫している点と、時価総額が小さくスクリーニング基準には届かない点は、留意したいところです。
13位(71点)いすゞ自動車(7202)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月17日
中東向けの出荷停止や関税で減益でしたが、来期は回復見込みです。 配当利回り4.11%・総還元性向84% と還元水準は高めです。自己資本比率がやや低めである点、過去に1度の減配実績がある点、ホルムズ海峡をめぐる情勢が来期の分岐点になる点を、押さえておきたいです。
13位(71点)住友商事(8053)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月3日
過去最高益を更新し、来期もさらなる最高益更新を目指しています。累進配当を中計に明記し、来期は増配予想です。ただし 配当利回りは2.19% と3%基準に届かず、割安感は薄めです。子会社化の影響で自己資本比率が一時低下している点も、確認しておきたいところです。
13位(71点)ソニーFG(8729)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月14日
会計上は一時的な損失で当期純利益が赤字ですが、持続的な収益力を示す指標は大きく伸びています。 予想配当利回りは約5.5% と、今回の21銘柄で最高水準です。2025年9月に再上場した新しい銘柄で、市場での評価が定まるのは、これからという段階です。
16位(70点)ウェルネオシュガー(2117)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日
グループ会社の連結化で増収増益となり、 自己資本比率72.9% の堅い財務と4.40%の配当利回りが魅力です。一方、来期は減益予想で、過去に2回の減配実績があります(累進配当ではありません)。時価総額が小さく、スクリーニング基準には届きません。
17位(68点)東ソー(4042)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月17日
米国子会社の減損で純利益は圧縮されましたが、 下限100円配当・総還元性向50% という明確な方針が安心材料です(利回り3.61%)。水処理や半導体関連のエンジニアリング事業も育っています。来期の業績予想が「未定」である点が、当面の不透明要因です。
18位(66点)大日本塗料(4611)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月17日
一過性の損失が重なった変則的な期で、来期は利益の正常化を見込みます。 PBR0.52倍・配当利回り4.81% と割安感は高めです。ただし時価総額が小さく流動性が低い点、来期の業績回復が前提になっている点は、リスクとして意識しておきたいところです。
18位(66点)日本製鉄(5401)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月13日
USスチール買収にともなう一時費用で純利益は大きく減りましたが、本業の実力はほぼ計画どおりです。 PBR0.53倍 は歴史的に見ても低い水準で、来期のV字回復が実現すれば割安感は際立ちます。自己資本比率や有利子負債など財務の重さと、中東情勢の不透明感は、要注視です。
20位(63点)ニチモウ(8091)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日
売上は過去最高でしたが、市況の低迷と工場火災が重なり減益でした。 PER7.44倍・PBR0.57倍 と割安で、累進配当のもと利回りは4.33%です。ただし時価総額が小さく、フリーキャッシュフローが2期続けてマイナスである点など、財務面と流動性のリスクには注意が必要です。
21位(55点)KPPHD(9274)
決算:2026年3月期4Q/分析日:2026年5月16日
主力のグラフィック用紙が構造的な需要減にあり、2期連続の大幅減益です。 PBR0.68倍・配当利回り4.12% という数字はあるものの、財務の主要条件はスクリーニングに届いていません。土地取得で借入がさらに増える予定で、ポートフォリオ転換の進捗が投資判断の前提になります。
まとめ:3つの注目の切り口
ランキング全体から、特徴のある銘柄を3つの切り口で整理しておきます。
① 高配当と財務の堅さを両立したトップ3
- 三菱UFJ(80点) :最高益の更新が続き、金利上昇も追い風。配当利回り3.28%。
- 東京海上HD(78点) :10年以上の減配ゼロという累進配当の実績。来期予想利回り3.13%。
- ORIX(77点) :3年連続の最高益と、下がりにくい配当設計。予想利回り3.40%。
② 配当利回りが高めの注目銘柄
- ソニーFG(71点) :予想配当利回りは約5.5%と、今回の最高水準(2025年9月に再上場した新しい銘柄)。
- 日本証券金融(73点) :総還元性向100%を掲げる方針。予想利回り4.28%。
- 大日本塗料(66点) :配当利回り4.81%(一時的な損失からの正常化を待つ局面)。
- ニチリン(72点) :配当利回り4.50%・PER9.9倍と、割安指標がそろう。
③ 時価総額・スクリーニングに注意したい銘柄
以下は、時価総額が1,000億円に満たない、または主要なスクリーニング条件に複数届かないため、売買のしやすさ(流動性)などに注意が必要な銘柄です。
- ニチモウ(約194億円)
- 大日本塗料(約358億円)
- KPPHD(約605億円)
- ニチリン(約557億円)
- ウェルネオシュガー(約885億円)
投資する前に、意識しておきたいこと
最後に、ランキングを見るうえで、冷静に押さえておきたい点をいくつか挙げておきます。
ひとつめは、 「一過性の損益」 です。決算には、資産の売却益や買収にかかる費用など、「その期だけ」の特別な要因が含まれることがあります。今回も、一時的な利益で過去最高益に見える銘柄や、逆に一時的な損失で減益・赤字になっている銘柄がありました。数字の良し悪しだけでなく、「本業の実力」を分けて見ることが大切です。
ふたつめは、 来期予想が「未定」の銘柄 です。一部の企業は、来期の業績や配当を未定としています。先が読みにくい分、判断は慎重にしたいところです。
みっつめは、 累進配当・連続増配も「絶対」ではない という点です。「減配しない」方針を掲げる企業でも、過去に減配した実績がある銘柄もあります。方針はあくまで方針であり、将来を保証するものではありません。
よっつめは、 小型株の流動性 です。時価総額が小さい銘柄は、売買がしにくかったり、株価が動きやすかったりします。スクリーニングで注記した銘柄は、この点に注意が必要です。
この記事は、あくまで「最初の一歩」です。気になる銘柄が見つかったら、ぜひリンク先の個別分析や、企業が公式に出している決算短信・決算説明会資料にあたってみてください。事実をひとつずつ確かめていくことが、遠回りのようで、いちばん納得感のある投資につながると、私は考えています。
【免責事項・投資のご判断について】
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